SUSTAINABILITY
私たちイーオクトが考える「サスティナビリティ」とは、難しいことではなく、
誰もがただほんの少し、日々の暮らしを、消費行動を見直して、行動を変えること、進化すること。
第6回 Sustain in Time Associate 高見 幸子(後編)
環境政策が最も進んだスウェーデンの都市を挙げるとするとどこですか?
スウェーデンへ視察に来た人が一様に感心するのが、ストックホルム市のハマービー・ショースタッド地区で進むエコシティプロジェクトです。かつて町工場で占められ、土壌も汚染されていた一帯が、90年代から進められた再開発で非常に美しく住みやすいエコシティーに変わりました。ここでは90年代当時の環境負荷を半分にするという目標を掲げています。
例えば車を使わなくても良いようにトラムが走るなどインフラが整備され、住民が使用するエネルギーの半分を自給するシステムが整備されたりしています。もっと具体的に言うと、ゴミを燃やした熱を暖房や発電に利用したり、下水処理場から出た汚泥からバイオガスを生産して車や1千世帯分の燃料に利用しています。
ハマービー・ショースタッド地区の場合、都市計画の段階から住民みんなが集まって議論して、その上で造成されました。
エネルギー消費を半減する目標のうち、75%はインフラ整備によって達成され、残り25%は住民のエコライフによって実現する必要があります。そのために「環境情報センター」を作って情報を発信したり、住民の環識を高めたりしています。環境政策のために協働する仕組みが出来ているのです。
スウェーデンは「アジェンダ21」から始まり、1999年に国会で環境問題を回避した社会を次の世代に渡すという決議を可決しました。政治家がまずビジョンを示したのです。その実現のための16項目の環境目標を、行政部門が実施します。政治家によるビジョンの形成と実務者によるプランの策定、実行という役割分担がスウェーデンでは非常に明快で、仕組みがうまく回っています。
高見さんから見て、日本がスウェーデンのここを学んでほしいと思う分野は何ですか?
地球温暖化、気候変動についてもものすごいお金をかけて国民を啓発しています。なぜかというと、知らないと物事を判断できないからです。みんなが決定するのが民主主義ですから、決定に必要な情報をみんなが持たなければならない。だからこそ情報公開し、啓発して、科学者が言っていることを分かりやすい言葉で知らせ、異なる意見は議論して、その上で選挙によって政治家を選びます。
かたや日本の場合、一部の人はよく知っているけれども、大多数の人はほとんど何も知らないという状況です。民主主義は政策のプロと実務のプロ、さらに専門的ではないにせよ判断のために十分な知識を持った市民、この3つが揃わないと機能しません。スウェーデンはそれが機能しているのです。
やはり決定権があるのは政治家です。政治家に、もっとドラスティックに政策を変えてもらわないと変わらないですよね。日本は未だに炭素税を導入していませんが、それでどうやってエネルギーシフトできるというのでしょう?
環境の取り組みで日本とスウェーデンの企業が一番違う点はどこですか?
スウェーデンでは民主主義が徹底しています。企業でも全従業員が環境教育を受けないと末端まで対策が浸透しない、というコンセンサスがあります。全従業員に対して最初に環境教育を行います。それはみんなが同じ問題意識を共有しないとうまくいかないからです。
日本の企業にありがちなのはCSR部門だけが環境教育を行うということです。全員が同じ情報を共有して初めてバックヤードまで対策が進むのではないでしょうか。なぜなら企業はチームワークだからです。それぞれの場所で環境対策を取り入れないと末端まで浸透したことにはならないのです。
今、エコシフトを漠然と取り組もうと思っている企業に対しては、何から始めたら良いと思いますか?
みんなが同じ意識を共有することが大事なので、全員で環境セミナーに参加してはどうでしょうか。ビジョンを共有した上で「こういう企業になりたい」という目標が見つかれば、明日から何をやれば良いかが分かります。
最後にイーオクトでは、スウェーデンをはじめ世界中のエコな商品を販売していますが、私たちのビジネスについてどう思われますか?
エコシフトをする際に、企業が先か、市民が先か、としばしば聞かれますが、私は企業が先だと思います。なぜなら、市民が判断に必要な知識を得て、何かアクションを起こそうとした時に、環境に配慮した製品があれば行動に移すことができます。その意味で、こうした商品やサービスを提供することは意義が大きいと思います。
日本は古くから環境に配慮した暮らしをしてきましたので、エコに対する色々な知恵を持っています。一方、スウェーデンはシステムを作るのが上手です。システムと知恵をうまく組み合わせたら、エコシフトも大きく進むのではないでしょうか。
どうもありがとうございました。
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わたしたちのサスティナビリティへの幕開けは1990年10月から。イーオクト代表、高橋百合子による環境先進国スウェーデンの「リサイクル社会を実現するための環境機器」輸入事業開始…