SUSTAINABILITY
私たちイーオクトが考える「サスティナビリティ」とは、難しいことではなく、
誰もがただほんの少し、日々の暮らしを、消費行動を見直して、行動を変えること、進化すること。
第3回(株)イースクエア 木内孝 共同創業者・特別顧問(前編)
イースクエアの思い、社会的な意義に共感し、エンヴァイロテックは2001年からイースクエアの株主になっています。
圧縮減容機を基軸に環境トータルソリューションを提供するエンヴァイロテックと、サスティナブルなデザイン商品の輸入・卸を手掛けるオフィスオクト。両社のコーポレイトサイトで、両社の製品を利用することを通じて環境負荷を低減させる事業活動を展開する企業をご紹介するウェブ連載「見つめ直す企業の社会責任」を1年間にわたってお送りします。
木内さんは2000年にイースクエアを設立し、今日までに有名企業を含む200社以上のCSRコンサルティングを手掛けてきた。日本にLOHASを紹介する際にも大きな役割を果たし、近年はカーボンオフセット分野やグリーンビジネスの振興にも精力的に携わる。
米国でのビジネス経験豊富な木内さんが特に訴えるのは、企業のコミュニティへの責任、コミュニティでのCSR活動の大切さだ。
木内さんがそもそも環境について関心を持ったきっかけは何ですか。
今から50年くらい前、私がカナダに留学していた頃のことです。留学を終えて、友人と北米大陸を自動車で横断する旅に出たのですが、運転中につい居眠りをしてしまい、ガケから転落してクルマは大破、私も大けがを負いました。
それで入院する羽目になったのですが、事故の知らせを聞いた実家から電報が届きまして、「君は何をしても構わないが、死んじゃいかんぞ」と書いてありました。
死ぬなと言うのは当たり前の事で、正直その時は伝えたい意味がよく分かりませんでしたが(笑)、その言葉がどういう訳か心の中にずっと残っていました。
そこから下って1992年。当時私は米国西海岸で三菱電機アメリカ支社に勤務していましたが、マレーシア・ボルネオ島のサラワクの森の中にあるバンガローに3週間ほど滞在したことがありました。
熱帯雨林では完璧な循環が成立しています。当時、東南アジアの森は外国企業による行き過ぎた伐採によって危機に瀕していました。サラワクの森で過ごしながら、この自然の循環を壊す諸悪の根源は人間だ、人類は地球の天敵ではないか、と感じたのです。
もっとも、地球そのものは微動だにしません。けれども地球の表面を水、土、緑、空気が薄皮のように覆っていて、人類はその薄皮をせっせと壊している。薄皮でしかない地球環境の死、イコールわれわれ人類の死だ―、と思い至って、電報の「死んじゃいかん」という言葉の意味は「死んだら終りだ」、壊すことは死を意味しますから、つまり「壊しちゃいかん」ということなのではないかと、その時初めて気が付きました。
サラワクの原生林の中に、人と自然、地球とのかかわり方のヒントを見いだしたのですね。では、地球環境の死イコール人類の死、という気付きをビジネスに結び付けたのは一体どんな出来事だったのですか。
サラワクの森で過ごしてから再び米国に戻ったのですが、熱帯雨林の中にいて最も強く感じたのは、一言でいえば「自然はすごい、完璧だ」ということでした。その自然の中にあえて間違いを見つけるとすれば、それは神様が人間に知恵を与え過ぎたということでしょうか。だから私は、「薄皮の自然」で営まれている循環の輪を人間の開発の手から守るにはどうすればいいかと考えました。
ちょうどその頃、米国東海岸では熱帯雨林を守る市民運動が盛んでした。私はとにかく一度自然保護の現場を見てみようと思い、運動グループの一つであるRAN(Rainforest Action Network)の事務所に押しかけて行って、そこの代表者と会いました。最初は向こうも「大企業が何をしに来たんだ」という感じだったけれども、お互い相手の目を見ながら話すうちに打ち解けてきました。私がそこで感じたのは、RANの若者はみんな生き生きと働いている、ということです。私のオフィスのスタッフよりも、よほど元気がある(笑)。
そこで私は自社のオフィスに戻り、約120人のスタッフ全員を集めて”If we cannot win, join them (勝ち目がないなら、仲間になれ)”」、すなわち、あのRANの連中と争って我々は勝てる見込みはない、だから一緒になって熱帯雨林を守る運動を始めようじゃないか、と呼びかけたのです。
するとスタッフみんなが立ち上がって拍手をして、喜んでくれたのです。「われわれのボスが決意してくれた、是非やりましょう」と言ってくれて。うれしかったですね。ここから、企業活動を自然循環の中に位置づける取り組みが、よちよち歩きながら始まりました。
木内さんの思いが従業員に伝わり、変化に向けての一歩となったわけですね。
社内の人間とビジョンや思いを共有することは大事です。しかも米国にはコミュニティは自分たちが作るものだ、そしてその先頭に社会や企業のリーダーは率先して立つべきだという社会風土があって、それも私の呼びかけを後押ししてくれたと思います。
そういう視点から日本を見ると、今の企業はどこもCSRレポート作りに一所懸命になっているけれども、レポートを作るより前にまず実際に行動を起こすべきじゃないか、と私は強く思いますね。レポートを作る能力を実際の具体的な行動に結び付けなければ、社会作りなんて出来ませんよ。
米国支社のオフィスがあった地域には世界的なオーケストラでもあるロサンゼルス室内管弦楽団が活動していますが、地元ではいま一つ知名度が低い。そこで私たちは、みんなにオーケストラの存在を知らせるために、毎日30万台の車が走る道路に面したビルの壁にオーケストラの壁画を描く事業のスポンサーになったのです。コミュニティが必要としていることを市民とともに具体的に実施することが本当のCSRじゃないか、と私は思います。(後半に続く)
イーオクトのすべての軸である「サスティナブル」について、詳しくご紹介します。
わたしたちのサスティナビリティへの幕開けは1990年10月から。イーオクト代表、高橋百合子による環境先進国スウェーデンの「リサイクル社会を実現するための環境機器」輸入事業開始…