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第10回 スウェーデンの男女平等~女性が活躍するスウェーデンの社会~

スウェーデンは男女平等の先進国

ベビーカーを押す父親。スウェーデンでは一般的な光景

スウェーデンは国際的に見て、最も男女平等が進んでいる国の一つです。

例えば、女性の大臣が50%、国会議員が45%、市議会議員が50%、市のトップ管理職の女性の割合が33%など、政治や企業の場に女性が多く、発言権がある点が高く評価されています。

政治や行政の場に女性が多いと、子育てがしやすく、ワークライフバランスが取りやすい社会のシステムが構築されやすくなるからです。

例えば、子育てをとってみましょう。スウェーデンの街角では、ベビーカーを押して散歩している若い父親の姿が多く見られます。

育児休暇中、離乳食を与える父親

これは男女平等を進めるために、育児もできるだけ男性が参画するようにと、1年間の育児休暇の内の2ヶ月は父親しか取れない法律ができたからです。

今では、父親が乳幼児の世話に積極的に関わることは当然になっています。

1年間の育児休暇を半分ずつ取ったカップルには、育児休暇手当(給料の80%)の他に、5,000kr(65,000円)の奨励金まで支払われるシステムになっています。

女性が勝ち取った権利

大手建築会社の環境戦略部長として活躍する女性

また、女性が1年間育児休暇を取ったとしても、元の職場に復帰できることが法律で保証されています。スウェーデンの女性が今、当然と考えている現在の男女平等の権利は、自然に男性から女性に渡されたものではありません。

1960年代から女性が社会に進出するようになりました。しかし保育園は足りず、男女の給与や労働条件に大きな差がありました。そこで、1970年代に男女平等を訴える女性たちの運動が起こりました。彼女たちの運動が無ければ、今のスウェーデンの女性の権利を獲得するのにもっと年月がかかっていたでしょう。今ある権利は女性たちが自ら勝ち取った権利なのです。

男女平等のために導入されたクオーター制

クオーター制というのは、日本では耳慣れない言葉だと思います。

アメリカで黒人が差別され、なかなか重要な地位に就けなかった時、クオーター制により黒人をある割合、採用しなければならないという法律ができました。

最初はその地位に就くだけの経験はなかったとしても、その地位に就くことで、学ぶことができます。そのためクオーター制は、差別を無くするための政策として効果があると考えられています。

スウェーデンで、クオーター制は男女平等の政策として導入されました。男女平等に大きな影響を与えたと思う、二つのクオーター制をご紹介します。

平等法

一つは、1986年に成立したJämställdhetslagen(平等法)です。

この平等法で、自治体と自治体に協力する組織には全職員の内、女性が少なくとも40%、男性が40%の割合であることが要求されました。自治体と自治体に協力する組織職員の40%が女性ということは、大きな意味があります。なぜなら、スウェーデンは地方分権が進んでおり、自治体に保育園から高校までの教育、児童福祉、高齢者福祉の責任があるからです。現在、自治体の行政職員の40%が女性で、トップ管理職を占める女性の割合は3人に1人と非常に高いのです。政治家と自治体職員に女性が多いことと、スウェーデンの児童福祉、高齢者福祉が充実していることを切り離すことはできないと思います。

選挙制度

女性の国会議員数の推移

そして、もう一つは選挙制度です。

スウェーデンの選挙は比例代表制です。それぞれの政党が党内で、候補者リストを作ります。投票率に応じて、そのリストの上位から当選が決まります。政党の意思で、候補者が男女交互に並んでいれば50%の比率で女性議員が当選することになります。

1994年、当時最大の政党だった社民党が、率先して男女交互のリストを作りました。他の政党もできるだけ男女交互になるように努力をし、国会の女性議員数が増えるようになりました。その時、社民党党首は、男女交互にリストアップすることを原則にすると宣言し、それ以来、その方針を貫いています。

1994年には、女性議員数が40%台にのりました。また、2006年の選挙では、世界トップの47%になったのです。ただ、昨年度には45%に下がっています。

世界の平均が18%、日本は11%ですので、45%は、依然、世界のトップクラスですが、男女平等は自然に獲得できるものではなく、常に戦わなければならないものであることを、スウェーデン女性は認識しています。

日本の女性も立ちあがって!

日本の女性は、世界一長生きをします。それゆえ、日本は世界一女性を大切にする国であると国際的に評価されています。確かに、医療システムや食生活などにおいて世界のトップクラスにあることには間違いありません。しかし、男女平等の視点から見ると、日本の女性の現状を改善する余地はまだまだあります。

現在の日本の女性は、日本女性史の中で最も自由で、社会的地位が高い状況にあります。その発展は、すばらしいと思います。しかし、他国の女性の地位も高まってきており、日本の男女平等の現状は、国際的なランキングにおいて決して高くありません。ただ、おとなしく待っているだけでは男女平等は達成できません。

権利のために戦うことは、日本女性の性格と反することになるかも知れませんが、日本女性らしい方法で、賢明に知恵を絞って、女性の地位と権利を高めるために行動をする時が到来していると思います。

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