SUSTAINABILITY

私たちイーオクトが考える「サスティナビリティ」とは、難しいことではなく、
誰もがただほんの少し、日々の暮らしを、消費行動を見直して、行動を変えること、進化すること。

COLUMN :第2回(2011.01.08)

第2回 スウェーデン環境先進スーパー COOP (1)
~環境分野でリードするスーパーマーケットの取り組み~

エコは企業の先行が必要。

私は、ナチュラル・ステップ・ジャパンの活動をするために、1999年に東京でアパートを借り住民登録をして25年ぶりに日本での生活を始めました。

8年間の日本での暮らしの中で、スウェーデンと日本の環境の取り組みの違いを最も強く感じたのは、スーパーマーケットです。

環境に熱心な日本の友人からは、「大地を守る会」の宅配を薦められ、しばらくは使っていましたが、スウェーデンと日本の二重生活の上、日本滞在中に出張が非常に多かったため継続しませんでした。

それゆえ、私にとってスーパーマーケットで有機野菜やエコ商品が選べることが重要でした。

しかし、スウェーデンに比べ、有機JASのラベルの食品も、その他の環境配慮した日常生活用製品も選択肢が少なかったためスウェーデンと同じエコ生活を送ることが非常に難しいと感じました。

日本では、環境に配慮した製品に関してよく消費者が先か企業が先かと議論されていましたが、私は、企業が先だと思います。

なぜなら、環境意識が高まった時に、すぐに環境に配慮した製品が選べないと消費者は行動ができないからです。

環境にプロアクテイブな企業が、先を読んで、環境に配慮した製品を提供していくことによって持続可能な社会への移行が加速すると思います。

 

COOPの経営に消費者が参画。

スウェーデンでは、そのような模範的な企業が90年代から登場し始めました。その一つの企業が、COOPです。


COOPの本社の建物

COOPは、1899年にKF (Kooperativa Förfundet)、生活協同組合という名称で8900人の会員によって設立されました。

現在、名前はKFからCOOPに変わっています。

会員が300万人で全国に720の店舗を持つスウェーデン第二の大手スーパーマーケットです。

スーパーマーケット市場の21.5%を占めています。会員は、全国に47ある消費者協会のいずれかに属しています。

COOPも民間の企業も、顧客の意見や要望は、電話や手紙やメールなど様々な形で顧客係が受けていますが、COOPと民間の企業の違いは、COOPの47の消費者協会が、COOP全体の経営に参画していることです。

総会において協会は、様々な提案をして会員の声が民主的に反映されるしくみになっています。COOPは企業と会員によって経営されていると言えるでしょう。

それゆえ、COOPは、会員の声に敏感に対応してきた歴史があります。彼らは、80年代に会員から家畜の飼い方、化学物質、健康食についていろいろな意見が寄せられてきたことが発端で、会員の要求により1984年に環境プログラムを取り入れたそうです。

また、90年代には、LCA分析をして環境戦略を作り5つの環境目標を打ち出しました。

  1. エコロジカル農産物(無農薬、化学肥料を使わない)を増やす
  2. 省エネ
  3. 包装物の削減
  4. 廃棄物
  5. 従業員の環境知識を高める

彼らの戦略は、スーパーマーケット業界で環境においてリードすることでした。

90年代は、ICAやAxfoodの環境対策もかなりCOOPのレベルに近くなりましたが、最近の環境誌のベンチマークでCOOPがトップと評価されています。

また、昨年は、地球温暖化対策が評価されてスウェーデンの経済雑誌が審査して表彰するグリーンキャピタリスト賞にもノミネートされました。

 

COOPの企業理念と環境ビジョンとゴール

COOPは最近、組織変革をしています。COOPの傘下には、スーパーの他に、書店、インターネット書店、出版社、不動産、投資グループなどがあります。

スーパーにおいても変革があり、Grona Konsumはなくなり、COOP nara , COOP Extra, COOP Kosum, COOP Forum と店舗の規模と特徴で分かれています。

一番多いのがCOOP Konsumでこの種のスーパーにおいて最もエコ製品の種類が揃っています。

●企業理念

「経済的な利得を創り、会員が消費を通して人間と環境の持続可能な発展に貢献できることを可能にする。」です。

●ビジョン

「リーダーシップを取り、最も革新的な日常製品を売る企業であり、持続可能な消費において業界の最先端に立つ代弁者であり、インスピレーションの源であること」

●ゴール

経済的に利益があり、会員にとって、COOPの製品が的確な価格で、持続可能な製品とサービスが提供されて良心の呵責を感じることがないようにする。
社会への貢献として、人々と環境の持続可能な発展に寄与する。

 

COOPの究極の環境目標と対策

COOPには、本社とそれぞれのスーパーにおいて、環境マネージャーがいます。私は、本社環境マネージャーのMikael Robertsson氏に、COOPのスーパー部門の環境対策について取材をしました。

COOPの究極の環境目標は3つあります。

  1. 地球温暖化問題に関する目標になりますが、化石燃料を使ったエネルギー使用ゼロ
  2. 無駄をなくし、再使用、リサイクルをする
  3. 散乱ゴミがない

地球温暖化目標として、2020年にCO2ニュートラルにするという目標を挙げています。

今までの対策としては、スウェーデンの南のヘルシングボーイからストックホルムまでの製品輸送をトラックから列車輸送に切り替えたことがあります。

また、トラックも電気自動車を導入、輸送に関して、サプライヤーにも環境に配慮した車両を使うことを要求しています。その他、全店舗の電力は、グリーン電力(水力)です。

また、全店舗の窓は3重窓で省エネを実現しています。

 

COOPが環境でリード

私が、環境に関心を持ち始めた80年代の中ごろは、その頃は、環境に配慮した食品や製品をスーパーマーケットで見つけることは困難でした。特別なエコ食品のお店などを探すのも大変でした。

それゆえ、今、スーパーマーケットで簡単に買えるようになったことは私のエコ生活の質を非常に高めてくれています。

90年代に国民の環境意識が非常に高くなった頃に、スウェーデンのスーパーも競争をするようにグリーンになっていきました。

しかし、20年たった今、継続的に頑張っているのは、COOPとICAです。

COOPが最もリードしている点は、環境ラベルのついた製品が一番揃っている点です。エングラマークという独自の環境ブランド(環境ラベルのタイプ2)には、300種目の製品があります。

その他にKRAVという農産物の第3者認証の環境ラベルと、洗剤や洗浄剤などの化学製品が難分解な化学物質が使われていないことを認証する自然保護協会の鷹のマークと北欧委員会のスワンマークがあります。

それゆえ、トマト、キュウリ、ニンジン、ジャガイモから牛乳、卵、肉、パン、小麦粉、砂糖、バター、そしてトイレットペーパーや洗剤など基本的な食品と日常品は全く問題なく環境ラベルの製品が買えます。

近年、コーヒー、紅茶、カカオ、バナナ等においてはKRAVの他にフェアトレードの認証マークがついたものが棚に増えてきており良いトレンドだと思っています。

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